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地球にやさしい完全循環型リサイクル

2017-07-17 12:45:24 guanli 60

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川崎市内で開催された「川崎国際環境技術展2017」で講演する機会があり、同市の環境問題への取り組みに触れました。公害問題の克服に向けて取り組んできた同市は、環境技術などの知見を蓄積し、産業と都市の再生を果たしました。容器包装リサイクル法が1997年に施行された後は、「川崎市エコタウン事業」の一環として、東京湾岸部で資源リサイクル施設を整備しています。その中の1つに完全循環型のペットボトルリサイクル施設があるとうかがい、見学させていただきました。


新技術

日本では77年、しょうゆ用に初めてペットボトルが使われました。その後、82年の食品衛生法改正により清涼飲料への使用が認められて以降、ペットボトルの需要は急速に拡大しました。ペットボトルリサイクル推進協議会によると、2015年度の指定ペットボトル(飲料、特定調味料)の販売量は56万3000トン。そして同年度の指定ペットボトルの回収量(キャップ、ラベル、異物を含む)は、市町村分別適合物量が28万1000トン、事業系ボトル回収量が22万トンの計50万1000トンとなっています。

ペットボトルは、ポリエステルの一種、ポリエチレンテレフタレート(ペット)樹脂からできていて、そのリサイクル技術の主流は「マテリアル(材料)リサイクル」。マテリアル(物)からマテリアル(物)へと再利用されています。卵パックなどの食品用トレー、インテリアや衣料用の繊維製品、成形品の回収ボックスや文房具など、さまざまな用途に再利用されています。しかし、再生品は使用後に焼却処理され、新たなペット樹脂をつくるため石油資源が消費されています。

そこで注目したのが、ペットボトルからペットボトルへ再資源化する「ボトルtoボトル」です。通常のマテリアルリサイクルでは、ペット樹脂に入り込んでいる異物の完全除去は難しく、使用済みペットボトルから新しいペットボトルへリサイクルすることは困難です。再生樹脂に微小な異物が残ってしまうと、食品用として安全基準をクリアできません。

研究を続け、ペットボトルを化学的に分解してペット原料に戻し、再びペット樹脂を作る「ケミカルリサイクル(化学再生法)」によるボトルtoボトルが開発されました。

04年9月、内閣府食品安全委員会で承認されたケミカルリサイクルの方法の一つがPRT方式(アイエス法)です。ケミカルリサイクルのほかに、「メカニカルリサイクル(物理的再生法)」によるボトルtoボトルの技術もあります。


国内唯一の施設を見学

今回訪ねたのは、08年10月に川崎市臨海部に設立された東洋製罐のグループ会社、ペットリファインテクノロジーの工場です。国内唯一のケミカルリサイクルによるボトルtoボトルのリサイクル施設を有し、使用済みペットボトルの処理能力は年間2万7000トン、再生ペット樹脂の製造能力は2万3000トンです。

同社管理営業本部営業グループ兼広報担当の伊藤利子係長に施設を案内していただきました。広い工場用地(約5.1万平方メートル)には、ベールと呼ばれるペットボトルを圧縮・梱包(こんぽう)したものが所定の場所にたくさん積まれています。

「使用済みペットボトルのベールから缶やびんを自動分離した後、粉砕・洗浄を行います。ベールに多少含まれているキャップやラベル、色付きペットボトルなどを事前に分離する必要はありません。できたペットフレークにエチレングリコールを加え、ヒドロキシエテルテレフタレート(BHET)と呼ばれるポリエステル樹脂の原料に分解・精製しますが、この間に行う数段階の濾過(ろか)行程でペット以外の異物を除去し、活性炭を使って着色材を吸着・除去します。さらにイオン交換樹脂で微量の金属イオンを除去し、高濃度のBHETにした上でペット樹脂に仕上げます」(伊藤係長)

--課題は?

「日本で回収されている使用済みペットボトル約60万トンのうち約半分の30万トンが中国に輸出されています。市町村が回収した使用済みペットボトルは、主に日本容器包装リサイクル協会(容リ協)が年2回行う入札で再生処理業者が仕入れていますが、国内向けの供給が不足している状況です。容リ協に登録する再生処理業者の年間処理能力は約40万トンありますが、自治体が容リ協の入札に出すのは年20万トン程度。当社も独自ルートで産業廃棄物などから原料の約4割を調達しています」(伊藤係長)

再生ペット樹脂の価格はバージンペット樹脂の価格に影響を受けます。バージンペット樹脂が値下がりすると、再生ペット樹脂の競争力が損なわれるので、原油価格の動向も懸念されています。


石油資源使用量を削減

同社は、ケミカルリサイクルによる耐熱タイプの再生ペット樹脂の開発に成功し、常温、低温、高温充填(じゅうてん)の全充填方式に対応できるようになりました。

味の素ゼネラルフーヅ(AGF)がこの再生ペット樹脂を採用し、16年春から主力ボトルコーヒー全商品に100%使用しています。ケミカルリサイクル材を使用することにより、原料として年間約2000トン相当(概算)の石油資源使用量を削減できると言います。ペットリファインテクノロジーとAGF、東洋製罐は「ケミカルリサイクルによるペットボトルの循環利用」について16年10月、「第42回資源循環技術・システム表彰」で経済産業大臣賞を受賞しました。独自に開発したケミカルリサイクル技術により、使用済みペットボトルをあらゆる種類のペットボトルに使用可能な高品質なペット樹脂に再生できる循環型リサイクルを実現し、評価されました。完全循環型リサイクルは、限りある天然資源を繰り返し半永久的に再生利用でき、ごみの埋め立て処分量を減らすことにも貢献します。原料調達コストを抑えることが事業継続のカギで、国内でより多くの使用済みペットボトルが循環する仕組みが求められます。